全国美術部門代表退任のご挨拶
全国美術部門代表 増田 金吾(東京学芸大学)
全国美術部門の会報47 号(2014 年9 月)では、本部門の目的について触れ、より充実した組織を構築して行きたい旨を述べました。2年の任期の間、どれだけのことができたかという反省と退任のご挨拶を兼ねて一言述べさせていただきます。
現在、国立大学教員養成系大学・学部は、文部科学省から中期目標・中期計画、ミッションの再定義の実行、並びに質的向上に向けた教員養成と教採試験合格率の保持・増加を求められています。
こうした中で、我々は日本教育大学協会(以下、教大協)全国美術部門の果たすべき役割や美術教育(とりわけ美術科教育)の重要性を語り、本分野が我が国の教育振興に貢献していることを説明しなければなりません。そのためには、先ず美術教育の教育内容を説明する必要があります。この一例として、特別課題検討委員会が担った教科内容学の検討がありました。その具体的な産物として、冊子『うみだす教科の内容学 図工・美術の授業でおきること』が本部門特別課題検討委員会の編著として平成27
年3月に発行され、美術部門及び大学美術教育学会の会員に配布されました。
特別課題検討委員会は、平成年21 年3月から教科内容に関する検討を行ったことに端を発し、教科内容学検討委員会を経て、特別課題検討委員会となりました。そもそもの始まりは、教科専門の現代的位置付けを確固たるものとすることであったと記憶しています。
教員養成系大学・学部における教科専門分野は、文部科学政策におけるゼロ免課程の廃止、教職大学院の強化といった路線から見た時、教科教育分野との協力体制が今まで以上に必要となってくると考えます。
次に、文部科学省等行政への働きかけについて述べます。教大協は文部科学省へいくつもの要望書を提出してきました。また、美術部門も「中学校美術科担当専任教諭の適正配置に関する要望書」を教大協に提出してきました。それらが今までは教大協止まりでしたが、昨年度から文科省へ届いています(教大協『ニュースレター』2014.11参照)。今年度は、最新のエビデンスをと考え、昨年全造連と協同で調査したデータを付して「教大協全国研究部門代表者連絡協議会」で教大協会長へ要望書を提出しました。その際行った説明に他の多くの部門が賛同してくれ、教大協として引き続き文科省へ申請していくことが認められました。なお、「美術教育連絡協議会」の一団体として、昨年6月に文科大臣や中教審会長等へ向けて、「美術教育の充実に向けての要望書」の提出も行いました。
これらの実効性は明確ではありませんが、行方を注視しつつ、今後もこうした活動は続けて行くべきだと考えます。
以上様々な活動を行って行く上で、役員・各種委員会委員の方たちにお世話になりました。とりわけ、部門運営委員会の方たちには近くで支えて頂きました。
そして、会員の皆様のご支援とご協力を頂き、どうにかこの任を終えることができそうです。全国美術部門のますますのご発展を祈りつつ、御礼申し上げます。