『教員免許状をめぐる議論について』
平成23年度全国美術部門代表 藤江 充(愛知教育大学)
厳しかった寒気もゆるみ春らしくなってきましたが、美術部門会員の皆様には、ご多用な日々をお過ごしかとか思います。
さて、美術部門が属する日本教育大学協会のホームページに、中教審での教員免許状に関する最近の検討経過が報告されています。「教員の資質能力向上特別部会基本制度ワーキンググループ」という長い名前の作業部会で出された「骨子案(たたき台)」では、「教員養成の修士レベル化」によって「高度専門職業人」としての教員を養成する方向性が示されています。具体的には以下の3つの教員免許状の創設が検討されています。
○「一般免許状(仮称)」学部4年+1〜2年修士レベルでの学修を標準とする。
○「基礎免許状(仮称)」学部4年。当面は、教員として基礎的な力量を保証する免許状として「一般免許状(仮称)」と併せて創設する。
○「専門職免許状(仮称)」学校経営、生徒指導、進路指導、教科指導(各教科毎)、特別支援教育、外国人児童生徒教育等特定分野に関し、より高い専門性を身につけたことを証明するもの。
採用について、「一般免許状(仮称)」取得者を採用するか、「基礎免許状(仮称)」取得者を採用直後の初任者研修との連携・融合により「一般免許状の初任者研修との連携・融合により「一般免許状(仮称)」を取得させるか、採用後一定期間のうちに「一般免許状(仮称)」を取得するようにするかは、地域の実情に応じた様々な積み重ねが必要とされます。
教員養成の修士レベル化構想は既に報道されていますが、その具体化を検討する段階に入っているようです。また、教員の国家資格化に関する「国家試験の導入については、様々な課題があることから、中長期的検討課題」とされていますが、これも大きな問題です。
詳細は、教大協のサイト(URL)をご覧下さい。
http://www.u-gakugei.ac.jp/~jaue/
部門会員の皆様には、図工・美術に責任を持つ当事者として、今後ともこうした動向に注目し、それぞれの立場から、発言・提案を行っていただければと思います。
さて、この2年間、部門代表として、微力を尽くして参りましたが、皆様のご協力もあって、なんとか任期を全うできました。この会報での報告をもって離任の挨拶といたします。ありがとうございました。
(日本教育大学協会 「全国美術部門No.42」 平成24年3月発行)