平成22年度 代表挨拶

『美術部門の「原点」に帰る』

 

平成22年度全国美術部門代表  藤江 充(愛知教育大学)

 

この4月から、美術部門「代表」(旧称「委員長」)に就任しました藤江充(愛知教育大学)です。橋本光明前委員長による組織の整備・拡充を基盤にして、教員養成という基本に立ち返って、部門の在り方を、会員の皆様とともに考えていきたいと思います。

教育の危機が言われるなかで、美術教育が我が国の教育の振興にどのように貢献できるのかが問われています。この部門は、教員養成そして研修の当事者として、その問いに応えていくことが求められています。教科内容学の検討などもその一環です。そのためにも、もう一度、この美術部門の原点に立ち返る必要があります。

この美術部門という組織については、既に『部門通信』(平成22 年2月28 日号)で橋本前委員長が詳しく説明されていますが、日本教育大学協会(以下「教大協」)の19 ある全国研究部門の一つです。教大協には、教員養成系の国立大学・学部が組織加盟をし、それらの大学・学部の専任教員は教大協の会員になっています。教大協会員であり美術関係講座に所属する教員は美術部門に属する形になっています。部門はある意味で「教員養成・美術」に関する「職能」団体とも言えます。さらに、教大協自体が9つの地区会(北海道、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州)に分かれていて、その各地区会別に部門があります。美術部門においても、各地区別部門の規約が存在し、各地区の活動報告が毎年、全国美術部門の年度末の会報に掲載されています。地区会からのボトムアップがこの美術部門の活動を支えてきたと思います。

こうした組織加盟による「職能」団体であり、地区会の活動によって支えられて来たのが部門の原点です。かつて全国美術部門は、「美術史・美術理論」を実験講座にするよう行政に働きかけるなどして、各地区からの要望を全国美術部門で一元化していった実績があります。そのためには調査・研究の活動が必要です。その一例が教科内容学検討委員会です。

今後は調査のためのアンケートなど各地区会にお願いすることもあるかと思いますが、ご協力をお願いいたします。

 

(日本教育大学協会 「全国美術部門No.39」 平成22年7月発行)